堆肥の肥料成分のお話

当社では、静岡県西部産の広葉樹、針葉樹の剪定枝葉、樹皮や刈草、山野草、葦、わら、茶粕、コーヒー粕などを主原料に100%植物性の堆肥をつくっています。

◆植物性堆肥の肥料成分

堆肥は法律上、特殊肥料に分類され窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)の含有量の表示が義務付けられています。

ただし堆肥の含有量は普通肥料のように必ず表示された値が含まれているわけではなく、季節や原材料の割合等によって変動します。保証された成分ではないということです。

植物性堆肥の特長の一つに「肥料成分が少ない」というものがあります。

また一口にバーク堆肥と言ってもその成分量には違いが出ます。

植物性堆肥と動物性堆肥

A社、B社のバーク堆肥はいわゆる昔のバーク堆肥で、樹皮に家畜ふん尿を配合して作ったバーク堆肥だと思います。 一方で当社の「グリーンバーク」と「グリーンヤード」は100%植物原料のみで作っています。

植物性堆肥と動物性堆肥

見るポイントはリン酸の値です。リン酸が最も低く出ます。原料の種類・割合にもよりますが基本的に100%植物原料で堆肥をつくると、肥料成分は多い順にN>K>Pとなります。

そのため、たとえば「100%剪定枝が原料!」と表示しながら、リン酸の値が高く出ていると、個人的には「何か混ぜているのかな」と思ったりします。

当社ではこのN>K>Pのバランスを見て品質の安定性を管理しています。

 

◆肥料成分の少なさは良いのか?悪いのか?

植物性堆肥と動物性堆肥

一方で家畜ふん尿由来の堆肥は、肥料成分が多い順に 鶏 > 豚 >牛≒馬という並びになりますが、鶏ふんや豚ぷんは商品名に「堆肥」とついていても、土壌改良効果は乏しいため肥料と考えて使います。牛糞はエサに繊維質を含むため、土壌改良効果も肥料成分も期待できる万能堆肥です。

いつも言っていますが、植物性堆肥と動物性堆肥はどちらが良い悪いではなく、特徴を理解して使い分けることが重要です。たとえば施設栽培では雨による肥料の流亡が少ないため、動物性堆肥のみを施用し続けると土壌に養分、特にリン酸とカリが蓄積しがちです。濃度障害や塩類集積を引き起こします。そのため、施設栽培で土壌改良を目的として堆肥を施肥するのであれば肥料成分が少ない植物性堆肥がおすすめです。逆に、露地で地力をつけたい場合や、定植までに1か月以上時間をあけられる場合は牛糞堆肥などを施肥すれば力のある畑を作ることができます。

またこの高温下では動物性堆肥の肥料成分は比較的早く分解すると考えられ、「堆肥の肥料分だからまぁそこまで効かないだろう」と思っていたが思いのほか効いてしまった、ということも理屈上はあり得ます。

植物性堆肥と動物性堆肥

農業の現場では「土壌改良はしたいけれども肥料分はいらない」という場面が意外とあるものです。そんな時はぜひ植物性堆肥をお使いください。

植物性堆肥と動物性堆肥

<次回>牛糞堆肥は濃くなっている!?